家賃収入、確定申告はいくらから?20万円ルールの3つの誤解

「家賃収入が20万円以下なら申告しなくていい」——半分は正しく、半分は危ない理解です。所得税の確定申告については確かにそういうルールがありますが、前提条件があり、住民税には当てはまりません。

この記事では、20万円ルールの正確な中身と、賃貸オーナーが誤解しやすい3点を、国税庁の解説と所得税法の条文の両方で確認します。

やりがちな失敗

誤解は3つ。①20万円は「収入」ではなく「所得」(家賃収入から必要経費を引いた後の金額)。②所得税の話であって住民税には20万円ルールが無いので、申告不要でも住民税の申告は必要。③赤字の年は申告義務がないが、申告しなければ還付も受けられない——義務がないことと、損をしないことは別です。

20万円ルールの正確な中身

給与所得者で、次のすべてに当てはまる場合、給与・退職以外の所得の合計が20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。

ここでいう20万円は所得の金額です。家賃収入が年60万円でも、必要経費と減価償却費を引いた不動産所得が15万円なら20万円以下になります。経費の拾い方は経費12項目の記事を参照してください。

当てはまらないケース

住民税に20万円ルールは無い

ここが最も見落とされます。所得税の確定申告が不要な場合でも、個人住民税の申告は必要です。所得税法121条は所得税の確定申告義務を免除する規定であり、住民税の申告義務は地方税法に別に定められていて、20万円の免除は用意されていません。

なお、確定申告をした場合は住民税の申告は要りません(申告データが市区町村に回ります)。20万円以下で確定申告をしないときだけ、住民税の申告が別に必要になります。 会社に知られたくない場合の住民税の扱いは普通徴収の記事で解説しています。

赤字の年 — 義務はないが、申告しないと還付はない

不動産所得がマイナスなら20万円を超えないので申告義務は生じません。しかし損益通算による所得税の還付は、申告しなければ1円も発生しません。還付のための申告(還付申告)は翌年1月1日から5年間可能なので、過去に出し忘れた年があれば遡れます。

ただし青色申告特別控除の55万円・65万円を使う場合は、法定申告期限(原則翌年3月15日)までの提出が要件です。5年遡れるのは還付そのものであって、期限後の申告では55万円・65万円の控除は使えません。青色の控除額は物件の規模で変わるため、青色申告の記事で先に上限を確認してください。

損する / 得するサイン

次に当てはまるなら、申告した方が得な可能性があります。

こうすればOK

  1. 家賃収入から必要経費・減価償却費を引いて、不動産所得が20万円を超えるか確認する。
  2. 20万円以下で確定申告をしない場合は、住民税の申告を忘れない。
  3. 赤字なら、義務の有無にかかわらず還付の見込み額を確かめてから判断する。

この記事の根拠(一次情報)

内容数値・ルール出典時点
20万円ルール(給与1か所)給与を1か所から受け全額源泉徴収対象の場合、給与・退職以外の所得合計が20万円超で申告必要国税庁 No.1900令和7年4月1日現在
同・条文所得税法121条1項一号:不動産所得等の合計額が「二十万円以下」であるときe-Gov 所得税法121条現行
給与2,000万円超給与の年間収入金額が2,000万円を超える人は確定申告が必要国税庁 No.1900令和7年4月1日現在
給与2か所以上年末調整されなかった給与収入と他の所得の合計が20万円超で申告必要国税庁 No.1900令和7年4月1日現在
勤務先へ賃貸する場合給与の支払者の事業の用に供して対価を受ける場合は20万円ルール不適用e-Gov 所得税法121条1項ただし書現行
住民税に20万円ルールは無い給与以外20万円以下で所得税申告が不要でも、個人住民税の申告は必要仙台市2026年5月21日
還付申告は5年対象年の翌年1月1日から5年間提出可国税庁 No.2030令和7年4月1日現在
期限後は青色55/65万が不可青色申告特別控除(55万円・65万円)は法定申告期限までの提出が要件国税庁 No.2030令和7年4月1日現在

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談ではありません。 具体的な判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。(令和8年7月時点の情報です)